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気管支喘息
気管支が細くなって、呼吸が苦しくなる発作を繰り返す病気で、人口の3%程度に見られます。
アレルギー、物理的な刺激、感染症などにより気道に慢性的な炎症が起こることが病気の本質と考えられています。
症状
呼吸がヒューヒュー、ゼーゼーして苦しくなったり、激しく咳込んだりする発作を繰り返します。
原因
気管支喘息の本態は気道の慢性的な炎症と考えられています。その炎症を引き起こす原因はアレルギーです。
アレルギーを起こしやすい体質の人がアレルゲンに繰り返し接触すると発症します。代表的なアレルゲンはダニ、ホコリ、カビ、動物の毛やフケ、花粉です。感染症、季節や天候の変化、運動、タバコの煙、花火、ストレスなども誘因となることがあります。
いくつかの因子が重なって発作が起こります。
検査
血液検査でIgEという抗体を測定することにより、特にダニやハウスダストのアレルギーの有無を調べます。血液中の好酸球数の増加もアレルギーの有無の参考になります。症状に応じて胸部のX線写真や呼吸機能検査も必要なことがあります。
日常の管理
喘息発作が起きにくい生活環境をつくるために、次のことに気をつけましょう。
- 布団や枕にはカバーを掛けて頻繁に掃除機をかけたり、洗うと良いでしょう。
- じゅうたんやぬいぐるみはダニを増やす原因になるので避けましょう。
- 犬、猫、鳥などのペットはアレルゲンを増やす原因となります。既に飼っている場合は出来るだけ外で飼育しましょう。
- タバコの煙は喘息発作を誘発します。家族の方はタバコを控えましょう。線香や花火も発作を引き起こすことがあります。
- 水泳、体操など身体の訓練は発作予防に有効です。
治療
喘息は症状が出てから治療するのではなく、症状が出ないように予防することが大切です。
現在もっとも有効と考えられている予防法は、抗アレルギー剤の内服と吸入ステロイドです。
抗アレルギー剤(プランルカストやモンテルカストなど)は、長期的に飲むことで、発作が出ることを予防する優れたお薬で、当院の喘息治療の基本です。粉薬やチュアブル、カプセルなどの剤形があり、長期間内服しても副作用の少ないお薬です。
抗アレルギー剤の内服だけでは発作が押さえられない場合や年長の園児の場合は、吸入ステロイドを使います。乳幼児ではアンプルタイプを吸入器に入れて吸入し、やや年長になるとスプレータイプを、スペーサーを用いて吸入します。小学生以上ではパウダータイプの吸入が簡単です。吸入ステロイドは肺などの局所に効くため、全身投与ほどの副作用はありません。
発作が出たときにはさらに気管支拡張剤(β刺激薬の内服や貼り薬)や咳止め、去痰剤などを併用します。
将来の見通し
小児期に発症した気管支喘息の約70%は思春期までに発作が起きなくなるといわれています。発作を繰り返していると肺の状態が悪くなり治りにくいので、発作が起きない状態を出来るだけ長く維持することが大切です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹が全身に出て、長期間繰り返す病気です。
乾燥肌、刺激に反応しやすい皮膚、かゆみを感じやすい性質、心理的ストレス、外部からの物理的な刺激など、いろいろな要素が関係していて、複数の原因が重なると症状が出てくると考えられます。
症状
皮膚が乾燥してカサカサしたり、赤くなったり、時には汁が出てジクジクしたりします。痒いために引っかいて出血したり、かさぶたになることもあります。湿疹のできやすい部位は、前額、眼囲、口囲、口唇、耳介周囲、頚部、四肢関節部、体幹などで、年齢によって次のような特徴があります。
乳児期:頭、顔に始まりしばしば体幹、四肢に下降してきます。
幼小児期:頚部、四肢屈曲部の病変が中心です。
思春期・成人期:上半身(顔、頚、胸、背)に皮疹が強い傾向があります。
原因
アトピー性皮膚炎の80~90%の患者さんはいろいろなアレルゲン(アレルギーを起こす原因となるもの)に対する抗体が陽性となり、アレルギーが強く関わっていると考えられています。アレルゲンとして頻度が高いものとして、食べ物では卵、牛乳、大豆、米、小麦、皮膚に触れるものではダニ、ホコリ、カビ、動物の毛などがあげられます。
よだれ、汗、チクチクする衣類、ざらざらしたじゅうたんなどによる直接の刺激も湿疹を悪化させるきっかけになります。
検査
血液中のIgE(免疫グロブリンE)という抗体を測ることにより、アレルギーの程度と種類を調べることが出来ます。ただ、湿疹がある患者さんすべてについて検査が必要なわけではありません。重症で通常の治療では治りが悪い時、抗アレルギー剤を長期間投与するかどうか判断する必要がある時、アレルゲンがわかれば環境改善ができそうな時などに検査を考えるとよいでしょう。
日常の管理
- 食事
食べ物が原因の時には食事制限が必要なこともありますが、発育のためにはバランスのとれた食事が必要です。むやみに食べ物を制限して発育や発達が遅れてしまっては大変です。食事制限についてはよく医師にご相談ください。 - 掻かない
引っかくことが湿疹を悪化させる要因です。爪はいつも短く切って、痒いときは冷やしたり、どうしても掻いてしまうときは長袖や長ズボンに着替えたりなど掻かないような工夫をしてみましょう。寝るときだけ手袋をつけたり、かゆみ止めを飲んだりする方法もあります。 - スキンケア
よごれや垢がついていると肌を刺激して湿疹を悪化させます。毎日入浴し、石鹸を使ってよごれをよく落としてください。肌に合う石鹸を選ぶことも大切です。洗うときに手ぬぐいでこすると肌を傷めますので手で泡立てて洗うのがよいでしょう。皮膚の温度が上がるとかゆみが強まりますので、熱すぎるお風呂は避けましょう。
肌の乾燥を防ぐために入浴後に保湿剤を塗ることも大切です。保湿剤には皮膚の状態や季節によっていろいろな種類がありますので医師にご相談ください。 - 衣類
皮膚を刺激する素材を避け、吸湿性、通気性のよいものを選んでください。洗剤、仕上げ剤の種類にも気を配りましょう。洗濯した後はよくすすぐことが大切です。
治療
通常はまず外用剤(塗り薬)で治療します。外用剤の種類には、ステロイド剤、非ステロイド剤、免疫抑制剤、保湿剤などがあります。剤形としては軟膏、クリーム、ローションなどがあり、塗る部位や湿疹の様子によって使い分けます。
外用剤だけでは良くならない場合には、原因となるアレルギーを抑えたり、かゆみを抑えるために、抗アレルギー剤などの飲み薬を併用することがあります。
ステロイドについて
ステロイド(副腎皮質ホルモン)の塗り薬はアトピー性皮膚炎の治療の基本です。ただし皮膚の薄い顔などに長期間ステロイドを塗ると、毛細血管が浮き出したようになることがあります。ステロイドの害を恐れて使わないために症状が悪化してしまう方が問題です。どんな薬についても同じことが言えますが、安全性と有効性をよく考えて、必要なときには必要な量を使うのがよいでしょう。
経過
アトピー性皮膚炎は小さい子供の時期に始まることが多く、80%が1歳以下で、90%以上が5歳以下で発症します。アトピー性皮膚炎を治療するための決定的な治療法は今のところありませんが、悪化させる要因を一つ一つ探っていきながら根気よく病気と付き合っていくという気持ちが大切です。